[AWS Black Belt Onine Seminar] Server Migration Service & Application Discovery Service Confirmation レポート
ご機嫌いかがでしょうか、豊崎です。
2017年6月21日(水)のAWS Black Belt Online Seminarを受講しましたので、レポートします。
今回は Server Migration Service & Application Discovery Service Confirmation の名前のとおり、AWSの移行について、SMS、ADSついてのセミナーでした。講師はアマゾンウェブサービスジャパン、パートナーソリューションアーキテクトの諸岡 賢司さんでした。
レポート
アジェンダは以下の通りでした。
- AWSの移行(マイグレーション)の考え方
- AWS Application Discevery Service
- AWS Server Migration Service
AWSの移行の考え方
- 移行といっても、範囲、複雑さが多様
- プロジェクト
- ハイブリッド
- クラウドファースト
- 全面移行
本セミナーでの移行(マイグレーション)とは
- 現行システムと将来システムのギャップを埋める計画や対応作業とする
移行実施計画における一般的な課題
- 業務部門責任者
- 移行のための業務停止はできるだけ短く
- 操作方法をなるべく変更しないで欲しい
- IT部門責任者
- 費用をあまりかけたくない
- 移行時システムを2重にもちたくない
- システムの停止時間を長く取れない
- クラウドを意識した設計が不安
AWS Cloud Adoption Framework(CAF)
- クラウドコンピューテヒング対する包括的なアプローチをかつようした効率的な移行
移行の実施プロセス
- 計画
- ディスカバリ:既存システムの棚卸しや把握
- 設計:ティスカバリで確認した内容を元に、どうやってクラウドに移行するか
- 移行
- 変換:実際に移行対象をAWSに移行していく作業
- 移行:パイロットテストや、移行支援、サービスインの計画、システムの撤去
- 運用
- 運用:クラウドに移行した後のサービス管理やインシデントが発生した時の対応など
- 最適化:移行後、さらなる最適化を行なってゆく
移行の実施プロセスを支えるAWSサービス
- このセミナーでは特に以下を取り扱う
-
ディスカバリー、設計
- AWS Application Discovery Service
- 変換、移行
- AWS Server Migration Service
移行の方針(例)
- 移行の方針
- 「システム移行時の停止時間を最小限、ビジネス影響を最小化、新たなITサービスを迅速に提供
- 実現方法
- フレームワーク、パースペクティブ、プロセスの活用
- ツール、フレームワークの活用
- 経験ノウハウの蓄積と再利用
- キーポイント
- 移行のコスト、リスク、期間を低減
- 安心、安全な移行
- 自動化、効率高い
AWS移行を進めるにあたって
- どのように区切って移行?
- どの部分から移行するのか?
- アプリケーション・ポートフォリオ管理による評価
- システムのリース、保守、更改などの期限
- クラウド移行制約の評価
ハイブリッド環境
- オンプレミスDCとクラウドとの併用環境
-
パターン
- 1:環境配置
- オンプレ:本番
- AWS:開発、テスト
- 2:システムごと配置(オススメすることが多い
- オンプレ:業務A
- AWS:業務B
- 3:システム内サーバ配置
- オンプレ:AシステムのDBサーバ
- AWS:AシステムのWEBサーバ
- 4:DR配置
- オンプレ:本番
- AWS:DR
- 5:クライアント/サーバ配置
- オンプレ:クライアント
- AWS:サーバ
- 1:環境配置
アプリケーション・ポートフォリオ管理による評価
- アプリケーション・ポートフォリオ管理からクラウドに適したアプリケーションやドメインや分類を選択し、クラウド移行対象を定義する。
アプリケーション影響度評価
- 影響度の観点からアプリケーションを評価分類して、クラウドに移行しやすい、または、しにくいものを整理
-
影響度
- 停止時のビジネスインパクト
- 停止時の業務影響
- 原本性
- 影響範囲
- ユーザ種別
- ユーザ数
- アクセス数
クラウド移行方式
- Re-Host
- 単純移行
- 必要最低限の変更
- 迅速移行後にクラウド最適化
- Re-Platform
- プラットフォーム変更
- Re-Purchaes
- アプリケーションを新しいものに変更
- Refactor
- クラウド移行前にアプリケーションを変更
- クラウドネイティブなアプリケーションにする
- Retire
- オンプレミス環境のサーバやアプリケーションを廃止・撤退
- Retain
- 現状維持
AWS Application Discovery Service(ADS)
ADSが必要とされる背景
- 既存システムの情報が整理・更新されていない現状
- IT資産台帳があるが、更新されていない
- 個人担当者個々人で管理されている、担当者が退職してしまった。
ADS概要
- 既存ITシステムのデータ収集サービス
- VMWare、Windows、Linux環境のデータを収集
ADS機能概要
- 全般的な機能
- システムの基本情報・依存関係・性能情報を収集
- 収集したデータはSSLで送信、暗号化して保管
- 収集したデータへのAPIアクセスが可能
- 収集データはCSVでエクスポート可能(ZIPされS3へ)
- CSVデータは3rdパーティ製品などでビジュアル化や移行時に利用可能
- ADSサーバ側の「Configuration Item」内部データベースは非公開
- エージェントレス型(VMWare環境)
- エージェントレス型は、VMWare環境からデータ収集
- 「ADSコネクタ」と呼ばれるOVF形式のアプライアンスをデプロイ、vCenterから情報収集
- ADSコネクタはADSサーバと接続、オンラインになったときのみデータ収集
- OSごとエージェントの追加導入により、詳細なアプリケーション情報を収集可能
- エージェント型(Windows/Linux)
- エージェント型はWindows/linuxからデータ収集
- エージェントは30秒毎に増分データを収集
- エージェントの更新ファイルは必要に応じて自動的にDL、適用可能(設定による)
ADSがサポートする環境/リージョン
- エージェント型
- Windows
- Server 2008 R2 SP1(※:既知の問題と修正プログラムあり)
- Server 2012、2012R2
- Linux
- AmazonLinux 2012.03、2015.03
- Ubuntu14
- CentOS6,7
- RedHat6,7
- Windows
- エージェントレス型
- VMWare
- vCenter5.5から6.5
- ESXi5.1から6.5
- VMWare
- リージョン
- 現在はUS West(オレゴン)のみ
ADSの制約条件、上限設定
- エージェントベース型
- AWS認定パートナーのみが利用可能
- 処理可能データ量は10GB/日
- データストレージは90日
- アクティブエージェントは最大250
- 非アクティブエージェントは最大1000
- 非標準イーサネット命名規則を利用したLinux環境はサポート対象外。システムにはeth0が必要
- エージェントレス型
- 処理可能データ量は10GB/日
- 上限達すると翌日までデータ処理ができなくなる
- よく起こる場合はAWSサポートへ上限緩和申請の問い合わせ
収集できる情報
- エージェント型
- Application Discovery Agentはインフラ/アプリに関する基本情報を収集
- レージェントレス型
- 仮想アプライアンスはvCenterからVMに関する基本情報を収集
ADS各画面でできること
- ダッシュボード画面
- ADSサービスのハイレベルな要約
- データコレクション画面
- データ収集ツールのタイプを表示
- エージェント、コネクタの開始/停止、デプロイ方法提示
- サーバ画面
- サーバの詳細情報を表示
- サーバをアプリケーション単位にグループ化
- アプリケーション画面
- 各アプリケーションを構成するサーバ表示
- アプリケーションの検索、作成、削除、変更
AWS CLI
- ADS用に19個のコマンドが提供されています
データのエクスポート
- awscliでCSV形式のエクスポートが可能
AWS Server Migration Service(SMS)
ADSが必要とされる背景
- クラウド最適化移行はハードルが高い
- 現状多いRe-Host移行
- 簡単に大量のサーバをAWSへ移行したい要望
SMS概要
- 2016/10に新サービスとして発表
- 原稿ではVMWareのみをサポート
- エージェントレス型での移行
- オンプレミスVMに対する増分変更をキャプチャしAWSに自動転送
- 1アカウントあたりの最大50VMの同時移行が可能
- AWS管理コンソール、及びAPI/CLIアクセス
- AMIからのEC2インスタンス実行
ADS動作概要
- 1)スケジュール
- 移行ジョブ
- 2)アップロード
- スナップショット取得
- VMからOVFテンプレートへエクスポート
- VMDKファイルをS3バケットへアップロード
- スナップショットの消去
- 3)変換作業
- VMDKファイルをEBSスナップショットへ変換
- S3バケットのVMDK削除
- 4)AMIの作成
- AMI作成
サポートしているOS/リージョン
- Windows
- Server2003 SP1,2003 R2
- Server2008,2008R2
- Server2012,2012R2
- Server2016
- Widnows7
- Windows8,8.1
- Windows10
- Linux
- Red Hat Enterprise Linux 5,6,7
- SUSE Linux Enterprise Server 11-12
- CentOS 5,6,7
- Ubuntu 12,13,14,15
- Oracle Linux 6,7
- Debian 6,7,8
- Fedora Server 19,20,21
- リージョン
- US East(北バージニア)
- US West(オレゴン)
- US East(オハイオ)
- EU(アイルランド)
- Asia Pacific(シドニー)
- Asia Pacific(東京)
- Asia Pacific(ソウル)
- Asia Pacific(ムンバイ)
サポートしているVMWare環境
- vCenter5.5から6.5
- ESXi5.1から6.5
- 最低4G RAM以上
- 最低ストレージ容量20GB(シンプロビジョニング)
- 最低ストレージ容量250GB(シックプロビジョニング)
- 接続先はインターネット(グローバルIP)であること
- HTTPプロキシが利用可能であること
SMS制約条件、上限設定
- 1アカウントあたり最大50まで同時VM移行
- VMの最初のレプリケーション時点から90日間まで使用可能
- (アカウント単位ではなく)顧客が制限緩和を申請しない限り、90日後に実行中のレプリケーションを終了する。
SMSの料金体系
- SMSサービス自体は無料
- SMSによる移行実行時に必要な費用 - 一時的にS3の料金が発生 - EBSスナップショットの料金が発生
AWS CLI
- SMS用に11個のコマンドが提供されています
全体のまとめ
- AWSの移行(マイグレーション)の考え方
- 既存システム環境を把握するためのADS
- 簡単に大量のサーバをAWSへ移行するSMS
- Re-Host方式のプロジェクト費用や期間を低減
感想
AWSにおけるマイグレーションの整理がついて有意義なセミナーでした。 特に短期間での移行を希望している場合にはSMSは有効なサービスとなりそうです。 東京リージョンでも利用できるので機会があれば試したいと思います。
なお本セミナーの資料が公開されましたら、リンクを貼らせていただきます。